地方議会に会派は必要か?

掲載日:2024.07.23

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ほとんどの地方議会には会派というものが存在します。千歳市議会には現在、「自民党議員会」、「公明党議員団」という2つの会派が存在していますが、この会派の設置については、「千歳市議会会派及び各派交渉会要綱」に規定されています。

 


地方公共団体が事務を執行する上でのルールとしては、「条例」、「規則」、「要綱」というものが存在します。

「条例」は議会の議決によって制定する自治体の法規であり、「規則」は地方公共団体の首長などがその権限に属する事務について制定する法規を指します。一方、「要綱」は、行政機関内部における内規で、法規としての性質(法的拘束力)を持たないものを指します。市民に義務を課し、又は市民の権利を制限するには、原則として条例によらなければならないとされています。

 


このルールで言うと、千歳市議会の会派及び各派交渉会を規定している「要綱」とは、単なる事務手続き上の内規であって、何らの拘束力を持っていないことになるのですが、上記の2会派に属する議員(議長職、副議長職で一時的に無所属となっている議員を除く)だけで15名もいるため、これらの内規も、彼らが議会活動をする上で有利になるように定められ、事実上の拘束力を持っています。

 


この「千歳市議会会派及び各派交渉会要綱」を見ると、まず第2条の第2項で、前項の会派の結成には、2人以上の所属議員がなければならない。と規定され、続く第3条では千歳市議会に各会派間の意見の調整、連絡及び協議等をするため各派交渉会を置く。 と規定されています。

そして第8条には会派に所属しない議員及び議会運営委員会の委員長は、オブザーバーとして各派交渉会に出席しなければならない。都合等により出席できない場合は、各派交渉会で協議し決定した事項を尊重しなければならない。

議長は、必要と認めたときは、前項の出席者の発言を許可することができる。 となっています。

 

つまり、この要綱に従えば、会派を組まない(あるいは組めない)議員は、各派交渉会に出席する義務は負うが、オブザーバー扱いなので議長の指名が無ければ発言はできない。そして欠席した場合には、そこで決まったことに原則文句をつけてはならない。ということです。
無所属無党派を貫く私は、まさにここに属するのですが、同じ選挙を経て、市民から負託を受けている議員が同じ権利を有することができない…こんな理不尽な決まりがあるでしょうか。

 

そもそも、議員内閣制を布く国会ならともかく、二元代表制によって合議体として存在する地方議会に「会派」という概念が要るのかという疑問が常々ありました。

私たち地方議会議員は、全国共通の主義主張で動く政党名で選ばれているわけではなく、千歳市民の代表として、一人一人が掲げる個別の政策を評価されて選ばれています。

 


昨年5月に公布された改正地方自治法第89条では、

普通地方公共団体に、その議事機関として、当該普通地方公共団体の住民が選挙した議員をもつて組織される議会を置く。

② 普通地方公共団体の議会は、この法律の定めるところにより当該普通地方公共団体の重要な意思決定に関する事件を議決し、並びにこの法律に定める検査及び調査その他の権限を行使する。

③ 前項に規定する議会の権限の適切な行使に資するため、普通地方公共団体の議会の議員は、住民の負託を受け、誠実にその職務を行わなければならない。

と規定されています。

 


改正前の地方自治法第89条は、単純に「普通地方公共団体に議会を置く。」としか規定されていませんでしたので、地方議会の役割がわざわざ明文化された意義を私たち議員はしっかり受け止める必要があります。

この法の求めるところは「議員は、自らの権限をもって議会に上程された議案や調査を誠実に実行し、住民の負託にしっかりと応える義務を負う」ということです。 別な言い方をすれば、この義務を履行できない者は議員たる資格に値しないということもできるでしょう。

 


私たち千歳市議会議員に課せられた使命を考える時、市民の利益よりも自分たちの利害や党利党略を優先することはできないはずです。
この令和5年に改正された地方自治法第89条の意義を前にするとき、昭和49年に制定された何の法的拘束力もない要綱を盾に会派に属さない議員を排除する意味がどこにあるのか、はなはだ疑問です。
「地方議会の中に会派は必要なのか?」という命題も含めてもう少し深く考えてみる必要がありそうです。