市民病院の赤字問題について

掲載日:2025.04.22

Pocket

3月議会に提出された補正予算案において、今年度の市民病院の事業収益が8億5千万円以上減少し、費用の削減分と相殺しても6億1千万円を超える赤字となることが明らかとなりました。年度当初から約1億5千万円の赤字が見込まれていただけに、ここまで大きく赤字が膨らんだことには心底驚きました。

 

公立病院の経営環境が厳しいという事例は全国各地でも起こっていますが、令和7年度予算でも2億3千万円近い赤字を見込む中、内部留保資金が令和6年度末で8億1千万円余りしか残っていないことから、このまま収益が改善しなければ、来年度以降、市の一般会計から赤字補填分を繰入していくしか手立てがなくなる可能性があります。

 

2年前の予算特別委員会でも、私は病院の財政見通しについて尋ねました。その際の答弁では、引き続き地域の基幹病院としての役割を果たすために「市民病院経営改革プラン」に掲げる経営改善に向けた取り組みを着実に実行していくとのことでしたが、その努力は報われていません。

 

国が出している「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」によれば、経営形態の見直しに係る選択肢として、1) 地方独立行政法人化、2) 地方公営企業法の全部適用、3) 指定管理者制度の導入、4) 民間譲渡等を含む事業形態の見直しの4つが挙げられています。

 

島田病院事務局長の答弁では、平成21年7月、千歳市立病院経営改革会議でこの4つの選択肢について検討をした結果では、いずれの選択肢のいずれも課題が多く、予測されるリスクを負ってまで経営形態を変更する段階では無いと判断して、現在の経営形態である地方公営企業法の一部適用での経営を継続していくとのことでした。

 

市民病院と千歳市がこの方針を崩さないのであれば、前述したとおり市民病院の内部留保資金が枯渇した段階で一般会計からの繰入を行う必要に迫られます。

 

18日の新聞報道によれば、厚生労働省が病床数を削減する医療機関に補助金を支給する病床数適正化支援事業で、自治体の一般会計から資金を繰り入れる病院は適用外とする方針が明らかとなったことから、単純に病床数を減らして費用削減を図るという選択肢も取り難く、地域医療を取り巻く環境はなお一層逼迫していきそうな気配です。

 

市民病院の存続と望まれる地域医療の在り方について、幅広い市民を交えた真剣な議論が必要だと感じます。