給食費値下げを訴える市民からの陳情を却下
掲載日:2025.03.31
2月21日に市民の方3名から「千歳市の学校給食費値上げを中止して無償化を願う陳情」が議会に提出されました。
この陳情は、教育委員会を所管する総務文教常任委員会に付託され、採択すべきか否かが検討されました。
総務文教委員会では委員長を除く7名の委員のうち、採択に賛成が2名、反対が5名となり、令和7年第1回定例会の最終日である27日の本会議において、岩満順郎総務文教常任委員長から「審査の結果不採択とすべき」との報告がありました。
私は、陳情書に書かれている前段の給食費の値上げについては、すでに議会での承認が済んでいることから、この部分を不採択とする決定は致し方ないと感じましたが、後段にある国などへの無償化の働きかけについては、市の財政に直接負担をかけるものでもなく、また昨今の諸物価高騰による国民生活の悪化が叫ばれている折でもあり、十分検討する余地があると感じましたので、委員長への質疑を行った上で、陳情書の不採択には反対を致しました。結果的に反対をした議員は私を含めて5名だったことから、陳情書は不採択となってしまいました。
陳情書については、所管委員会に付託されてから通常、数か月から半年程度の時間をかけて定年に審議されるのですが、今回はわずかひと月余りで不採択決定となったことについても、私は疑問を感じました。
この点について、議会閉会後に議会事務局へ尋ねたところ、間もなく行われる市議会議員選挙の前に決定をしなければ、たとえ継続審査になっていたとしても、自動的に審査未了扱いとなってしまうためとのことです。
しかし、それが理由であれば、陳情者にその旨を説明し、一旦取り下げていただいて、選挙終了後に改めて提出してもらう方法もあったのではないかと思います。短時間で議会が不採択の決定を下したことは市民の側から見た場合、非常に冷たい印象を与えたのではないかと危惧するところです。
余談になりますが、私は、単純に給食費を無償化することについては、やや懐疑的な意見を持っています。
文科省の調査によれば、2023(令和5)年9月の段階で全国の30%に当たる597自治体が、「子育て支援」、「少子化対策」、「定住・転入促進」を目的として給食費の無償化を実現しており、一種のトレンドとなっていますが、中には首長の選挙公約や十分な財源を確保しないままに実行され、「安かろう、悪かろう」の給食になってしまった事例も聞こえてきているからです。
現在千歳市では、新しい学校給食センターの建設が検討されていますが、この議論も、現在の給食センターが学校給食衛生管理基準を満たしておらず、提供可能な献立に制約があり、アレルギー除去食の対応もできないことなどが発端となっています。
しかし、2020(令和2)年に文科省が策定した「学校給食摂取基準」の観点から言えば、まずは、4割にも及ぶとされる千歳市の小中学校給食の残食率をいかに減らすか、子どもたちの成長に必要とされるカロリーをきちんと摂取してもらえる「おいしい給食」の提供をしっかり担保することが優先課題ではないかと感じます。そのためには、児童生徒はもちろんのこと、保護者も交えて、家庭負担と給食のクオリティのバランスをもっと議論すべきではないかと考えるところです。